じっくりと、2拠点の良さについて考える
2022.10.03

じっくりと、2拠点の良さについて考える

東京と笠岡いったりきたりで大変ですねと、本当によく言われます。

天気の世間話程度で話しかけているのか、2拠点の生活に興味があって深掘りしようとしているのか毎回どのギアで返事したらいいのか迷いつつも、だいたいは世間話としてなので、大変ですよ、とか逆に、慣れますよと返事しています。どちらも本当なので嘘ではないです。

しかし、もし本当に長時間二拠点の生活と仕事について話をしてほしいと言われた時にどう答えるかなんて考えたことなかったし、もう8年近く続けてもいるので、本当のところどうなんだろうと思いまとめてみることにしました。

 

※自分にとって、生活と仕事は同じようなものなので、2拠点での「生活と仕事」とは今後書かず単に2拠点での「生活」と書きます。その場所で生活をするには、その土地での仕事も当然必要。そういう意味では別荘は違うし、ワーケーションはどちらかというと生活の要素が入っていないので2拠点生活の範囲にはこの話ではもちろん入れてないです。

 

2拠点生活。ひとことで言っても、いろんな状況があるし、ステージもさまざまだと思います。

僕は結婚前の独身時代から、結婚、間があいて、長男ができ、そして保育園入園というステージをこの8年で2拠点生活で過ごしてきています。月の東京と笠岡の比率は東京が基本多いですが、笠岡に1ヶ月くらいずっといる時もあります。

最初の2015年あたりは寝るところを間借りさせてもらい、その後賃貸をシェアし、2018年に事務所兼住宅を借りて本格的に2拠点で生活をし、引っ越しを1度して2022年の今に至ります。
(間借りを2拠点と言っていいのかって思うかもですが。れっきとした生活と仕事の拠点でしたので2拠点生活と思っています。)

 

間借り→シェアハウス2軒(写真無)→事務所兼住居→事務所(海の校舎)+賃貸住居。5ヶ所を転々としてきた

 

今は第二の拠点である笠岡の家と事務所の家賃、水光熱費、車など維持費がどんどん膨らんできてちょっとこれは、、と思い始めているけど、最初はほぼ交通費程度で始めていました。しかもお金がないので高速バスを多く使っていたので片道数千円。

最初から家も事務所も車も用意していたら、2拠点のメリットよりも、お金がただかかるというデメリットばかり気になって早々にやめてたと思います。

低空飛行をして第二の拠点で仕事をこつこつと得て、段々と金銭的にもやっていけるようになったという、完全にニワトリより卵が先のパターンです。最初から事務所を借りるためにお金を借りるなんていう考えも知識も勇気もなかったです。

 

いわゆる2拠点生活の醍醐味の違和感

さて、そんないかにも大変そうな2拠点での生活の良さってなんでしょう?

都会の刺激や利便性やエンターテイメントと自然豊かな田舎の暮らしを両立できる、みたいなやつですかね?

もちろんあると思いますけど、本当にそれで自分は満足を得ているのか疑問なところがありますし、違和感を感じます。2地域を行ったり来たりするきっかけは母の病気のお見舞いだったし、田舎を選んでいるのも地元が地方の町だったからで意識して田舎を選んだわけではないです。

それに都会のきれいな夜景やものすごく便利な生活はもはや当たり前に感じるし、瀬戸内の多島美に囲まれた自然豊かな暮らしや歩いて釣りに行ける環境も正直日常になってきます。ただそこに満足感を感じているのかもしれないです。

しかし、誰かに2拠点の良さって何?って聞かれた時にこう答える自分は本音を言えてないという葛藤を感じていました。2拠点の良さが何か他にあって、目の前にふわふわ浮いてるのがわかるけど、触れないし見えないし、とにかくよくわからない。

じゃあ生活の場を2ヶ所持って人生の選択肢を増やすという人生の戦略みたいなものか?災害リスクの分散とか、仕事や教育の選択肢を増やすとか?それは確かにあるにはあるけど、2拠点生活の後付けの理由で、本質ではない。

自分にとって心から感じ、違和感を感じることなく2拠点生活の良さってなんだろう?とずっと考えたとき、これだというのがやっと見つかりました。
まさにこの文章で先に書いた、「生活の中に仕事は含まれている」という部分で「ああ、これか。」とストンと腑に落ちました。

 

 

 

「生産者としての立場」

どういうことかというと、

2拠点生活の良さは、第二の拠点でその土地の人といっしょに仕事をし、感謝やお金という対価をいただき、それをまた第二の拠点での生活に使っていく循環みたいな中に自分が入っている状態、自分の人生でそういう循環が自分が関わりたいと思っている第二の土地で生まれたこと、そして受け入れられたという感覚が、2拠点生活の良さなんだと腑に落ちたのです。シンプルに言うと、関わりたい第二の土地でお互いに役に立っている感じです。

 

旅行や別荘で、その土地で「消費のみして土地の経済に加わる」のではなく、その土地の人と関わり「生産もして消費するまでの循環に加わる」ということ。

都会の刺激や利便性と自然豊かな田舎の暮らしを両立できるというのに違和感を感じるのは、そこに消費者としての視点しかないからなんだと分かり、自分は生産者でもありたいという欲求があるから違和感を感じたんだと今思います。特にモノづくりコトづくりを生業にしている自分はなおさらなのです。

結局、人や仕事や生活、そしてお金を生みまた使う、関わり合えることは人生で切っても切り離せないし、そこが豊かさにつながるんだなとつくづく感じました。

 

2拠点ではないですが、移住している人のブログを読んで、移住先でコミュニティが生まれ仕事して活動している記事とか読んで共感するしいいなあと思う反面、移住をしているけどただ都会から地方に移動してパソコンのみで仕事をしている記事を読んで共感を感じないのは、移住先でその場の人と関わりを感じないからなんだなと改めて思いました。(もちろん後者は実際はとの土地の人との関わりがあるけどブログに書いてないだけかもしれませんが)

 

2拠点の良さを言葉にしてみましたが、結局ふわっとした感覚みたいになりましたけど、今自分に一番カチッとした答えだなと感じています。

同時に2拠点のデメリットや障壁も多くあります。時間と距離、お金、そして最近存在感を増してきた家族という要素。

今まさにそれらがまじりあってこの2拠点生活に新たな動きをすべきとこの1年考えてきています。

いろいろバランスみながらいきます。